重心から見るゴルフクラブの特性と効果③ ~重心高~

みなさんこんにちは。
管理人のQuattroです。

本日は重心シリーズ最終章、「重心高」についてです。
(前シリーズ、「重心距離」・「重心深度/重心角」については下記リンクからどうぞ)

重心から見るゴルフクラブの特性と効果① ~重心距離~
重心から見るゴルフクラブの特性と効果② ~重心深度/重心角~

近年アイアンでもドライバーでも「低重心」を売りにしているモデルが非常に多いです。
”低重心”というのは要は重心高が低いということなんですね。

本稿では「そもそも重心高って何よ?」というところから、「結局低重心だと何が良いわけ?デメリットはないの?」みたいなところまでしっかりと解説したいと思いますー!!

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重心高の定義と効果

重心高とはヘッドの重心点からソールまでの距離(黄色い線)のことを指します。
この黄色の線が短ければ短いほど重心が低い、つまり”低重心”ということになります。

重心高が球筋に与える効果は大きく以下の2つ。

①打ち出し角
重心高が低ければ低いほど、打ち出し角が大きく(高く)なる

②スピン量
重心高が低ければ低いほどスピン量は減る

お察しの良い方はお気づきでしょう。クラブの低重心化によって近年一般のゴルファーにも浸透しつつある、飛びの3要素「高初速・高打ち出し・低スピン」のうちの2つの要素、「高打ち出し」と「低スピン」を実現しやすくなっているわけです(飛びの3要素については別稿で詳しく言及してみたいと思います)。
要はゴルフクラブにおいて、重心を低くするということは飛距離性能を上げることに大きく寄与するということ。これが各メーカーが自社のクラブ(特にドライバー)において低重心をアピールしてくる理由になっています。

縦のギア効果

ではなぜ低重心にすると打ち出し角がつき、スピンが減るのでしょうか。
答えは「縦のギア効果」にあります。

ギア効果とは簡単に言えば「ヘッドの回転の方向と逆方向の回転をボールに与える効果」です。
ヘッドというのは、ボールを真芯で捉えたときにはほとんど回転を起こしませんが、芯以外の箇所でヒットした場合、重心点を中心に回転を起こします。そしてその回転の反作用としてボールには逆方向の回転を与えるという現象が起きるわけです。

以下の図をご覧ください。

フェース上部でヒットした場合(重心点よりも上部でヒットした場合)、上図においてヘッドは重心点を中心に反時計回りに回転を起こします。
言わずもがなですが、インパクト時はフェースとボールは密着していますので、2つの物体の間には摩擦が生じます。その摩擦の力によって、ヘッドの回転とは逆方向(上図では時計回り方向)の回転がボールにかけられるということなのです。

上図ではあたかもボールが順回転しているように見えますが、実際にはロフトの効果によってボールは必ず逆回転(バックスピン)を起こしますので、フェース上部でのヒットはそのバックスピンの量を減らしてくれるという理解をして頂ければ幸いです。
また、フェース上部でのヒットはインパクト時のフェース向きを上向きにしてくれるということから、必然的に打ち出しも高くなります。

つまり、重心点よりも上部でヒットすることができれば、「高打ち出し・低スピン」が実現されるというわけです。

また、これとは逆に重心点よりも下でヒットした場合、ヘッドは当然ながら時計回りに回ります。つまりボールには反時計回りへ回転しますので、必然的にバックスピン量は増え、打ち出しも低くなっていきます。

低重心のクラブの場合、フェース面における「重心点よりも上部」にあたる面積が相対的に大きくなります。当該面積が大きければ大きいほどそこに当たる確率は高くなるので、そのクラブは「飛ばしやすいクラブ」と言えるわけですね。

ギア効果についてはまだまだ書けることがいっぱいあるのですが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

重心が低ければ良いってもんではない

ここまで重心高が低いことのメリットばかり書いてきましたが、実際にはそんなに単純なものではありません。

アイアンやウェッジは飛ばすだけが目的ではなく、グリーンに止めるということも目的になりますので、スピンが減りすぎてもダメなわけです。
実際にスピン量を確保したいウェッジなどは、重心を高く設計しているものが多いです(要は重心点より下部でヒットさせ、スピンを多くするという意図ですね)。

また、飛距離が重視されるドライバーにおいてもスピンが”減りすぎる”と、ボールに十分な揚力が得られず、全然キャリーが稼げず飛ばないという結果に陥ってしまうこともあるのです。

適正な打ち出しとスピン量についてはそれぞれの方のヘッドスピードやスイングタイプによって異なりますので、この辺はやはり信頼できるフィッターさんに相談するのが一番かと思います。

最後に

本稿では「重心高」について触れてきましたがいかがでしたでしょうか。

重心高の特性を知っておけば、フェースへの当て方によってスピン量や打ち出しをコントロールすることも可能になってきます(アプローチの時にウェッジの下目に当ててスピンをかけるとか)。

シリーズに共通して言えることですが、重心の特性を知ることはゴルフクラブ選びやスイングづくりに大きなプラスになります。
重心位置による効果の違いをしっかりと把握し、最短距離で上達していきましょう!
(自戒の念をこめてwww)

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ギア

Posted by quattro